不当解雇の解決事例


ある日突然の解雇通告。断固として許せないことです。本事案は、一ヶ月半の団体交渉で解決に至りました。


理由もなく突然解雇!

これは鹿児島県内の、とあるホテルでの実話です。

まじめに働いていたら、突然『来なくていい』と……

女性社員のSさんは、世渡りが上手な方ではありません。そんな自分の性格を知ってか知らないでか、仕事に対しては猪突猛進タイプです。指導的立場にもあって、若いパートさんたち、そしてお客さんからの信頼も厚い人です。

それが突然社長に呼び出され、1時間半も説教(?)を食らった後、最後に 『明日から来なくてもいい』 と言い渡されました。それも、Sさんがいないと成り立たない仕事が終わったその日 のことです。理由は特に示されませんでした。

この説教というのも中身のないもので、Sさん本人は社長が何を言っているのか、『明日から来なくてもいい』と言われた後でも分からなかったそうです。(未だに何を言いたかったのかよく分らずじまいなのですが)

結局、社長の個人的な感情だけで首を切ったようなものです。


分会を結成し、解雇撤回に向けて行動開始

おまけに、その翌日には新しい人が採用され出勤してきたのです。まるでSさんの解雇ありきのやり方は許されるはずもなく、即座に分会を結成し、行動を始めました。

  1. 会社に対して解雇理由書を文書で請求
  2. 受け取った解雇理由書を分析
  3. 解雇理由がおおよそデタラメであることを確信
  4. 解雇撤回を求めて団体交渉を申し入れ

会社が文書で回答してきた解雇理由は本当につまらないものでした。早い話、嘘ばかり並べ立ててあったのです。団体交渉の席で組合側は、解雇理由のひとつひとつに対して会社に誤りを認めさせました。そして、一ヶ月半の団体交渉を経て、無事に現職復帰を果たしました。 この間Sさんは出勤できずにいたのですが、その間の給料も100%支払わせました。

さらに、全従業員の前で会社側はSさんの解雇が誤りであったことを認め、謝罪しました。


まるでえん罪事件

この一ヶ月半のSさんの苦しみは、例えようのないものです。いわば冤罪ですからね。 それ以前に、一人の人間が職を失うということは、人生設計を大きく狂わせるものですし、まして理由なき解雇など人格否定も甚だしいことです。 今もSさんは、仕事から帰ってのビールを楽しみに頑張っていますよ。


本事案のポイント:会社は簡単に首を切っちゃダメ!


解雇は相当な理由がないと成り立たない!

基本的に、使用者(会社側)はよほどのことがないと従業員の首を切ることができません。これは、過去の判例等に影響されて労働基準法に追記(平成15年、労働基準法第18条の2)されたものにもよります。なおこの条文は平成20年に労働基準法から削除され、労働契約法第16条に移動しています。

※ 労働契約法第16条 『解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合その権利を濫用したものとして、無効とする』

もっとも本事案では、なにひとつ正当な解雇理由が示されなかったのですが。


『経営が苦しいから辞めてくれ』……本当に成り立つの?

この場合、『こういうご時世だし、仕方ないか』とあきらめてしまいがちです。いわゆる整理解雇ですが、これにも条件があります。『整理解雇の四要件』と言い、これも過去の判例や実績などから最高裁が下したものです。

  • 人員整理の必要性が本当にあるのか?
  • 解雇を回避するべく努力したのか?
  • 誰を辞めさせるか、きちんと合理的に決めたのか?
  • 解雇の手続きはきちんとなされたか?

まず、本当に誰かを辞めさせないと経営が成り立たないのか、きちんと検討しなさいということです。

そして、誰も辞めさせることなく乗り切るための努力をしないとだめです。会社が無駄遣いを続けているのに簡単に首を切られてはたまりませんからね。

さらに、辞めさせる人を選ぶさい、きちんと合理的に説明できる理由付けがなされていないといけません。人員整理を理由にして、会社にとって邪魔な人を追い出すことだって考えられるわけです。

上記を満たしていても、きちんと従業員に説明し、話し合い、従業員がきちんと納得できるための手順を踏んでいない場合、その解雇は無効とされるケースが多いのです。


その他にも……

よくあるのが、試用期間中の解雇、派遣社員が契約期間満了前に解約、などといったケースですが、解雇撤回をかちとったものもあります。突然の解雇でお悩みの方、一度お電話でご相談ください。